岩手県で最も成功したブランディング。
それは「恋し浜ホタテ」だと思います。
品質では高い評価を得ていたものの、ほとんど無名だったホタテ。
一人の生産者が、生産するだけでなく、自分の手で売り、イベントに出展し、
買っていただいた方と対話しながら、少しずつ名前を広げていきました。
最初は変わり者扱いされながら、徐々に仲間が増え、ファンが増え、
「恋し浜ホタテ」はメジャーな存在になっていきました。
地元ではその人気にあやかり、
2009年には「小石浜駅」が「恋し浜駅」という駅名に変更されるなど
順調にブランド化は進んでいきます。
2011年の東日本大震災。
壊滅的な被害を受けたこの小石浜地区に全国から物資が山のように届けられました。
これは「あのホタテをもう一度食べたい」という全国のファンから届けられたものです。
裏切らないおいしさと生産者の人柄。それが見事に合致した恋し浜ホタテ。
恋し浜ホタテがなくなったら悲しむ人がたくさんいて、何とか守ろうと支援してくれた。
これほど熱狂的なファンを持つホタテは少ない。
そして、これが「ブランド」の証であり価値だと思うのです。
ちなみに、恋し浜ホタテがブランドを確立するまで、10年以上かかっています。
ブランディングは遅効型です。1年や2年で出来るものではないです。
だから、ブランディングをやりたいという企業には、
時間がかかってもやり遂げようという覚悟と忍耐の両方が求められると思います。
そして、それは担当する制作会社も同様です。