大学生の頃、就職試験でよく聞かれたのが、
「あなたが目指すのは、スペシャリストですか、それともゼネラリストですか?」
という質問です。
僕が就職活動をしていた頃は、ゼネラリストが注目を集め始めていた。
ゼネラリストは幅広い視点を持って仕事を進められる人材と言われる。
良く言えば、そうなのですが、「なんでも屋」みたいな感じがしました。
そして、その質問をされた時、僕は
「スペシャリストです」と答えていました。
社会のことなどわからない若造でしたが、何となく一つの道を極めることが
かっこいいような気がして、そんな風に答えていたと思います。
そのスペシャリストの夢は、
入社3年目にはあえなく砕け散っていました。
東京の博報堂には、その当時の広告業界を代表するスタークリエイターが揃っていて、
その能力はすさまじいものでした。
元々能力が高い上に、猛烈な努力をしている。
その姿を見て、自分がスペシャリストを目指すのは、相当厳しいことを自覚しました。
ただ、多少なりとも社会を経験することで、
目指す姿もちょっとはクリアになってきていたと思います。
僕が次に目指したのは、「スペシャリストよりのゼネラリスト」です。
自分の専門領域を持ちながら、
一方で全体を見渡すことができる人になることを目指すようになりました。
今振り返ると、自分にとっては、この目標が身の丈に合っていたことはもちろん、
いちばん力を発揮できる目標だったと思うのです。
バランス感覚や交渉力を磨いてきたことは、
今の自分にとっては、大きな武器になっています。
そして、それが、ライト・ア・ライトの個性にもつながっている。
制作という仕事において、コピーを書いたり、撮影をしたりというのは、
仕事のほんの一部でしかないことがわかります。
それ以前の打ち合わせや交渉などのもうがよほど仕事に占める割合は多いのです。
それはまさにゼネラリストの領域。
ライト・ア・ライトは「作る」ことだけでなく、
仕事を成立させるノウハウがある。
それが差別化につながっていると思うのです。