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執念

自分のこの考えは間違っている。
そんなことはわかっているのです。

僕は自分の眼の異常に気付いていたけれど、
その時の仕事の状況を考えれば、
自分のことを優先する気にはどうしてもなれなかった。

たくさんの人が力を貸してくれて
成立しそうな仕事がありました。

たくさんのスタッフが一生懸命やってくれたから
何とかカタチにできる仕事がありました。

その途中で、僕は自分が今ここから抜ける選択肢は考えられなかったのです。

これは本当に間違っていることだけれど、
その時は、この仕事が結実できるなら眼の一つくらいなくなってもいいと思っていました。

たとえ、時間を戻したとしても、やはり僕は同じようにしたと思う。

ギリギリのところで手術も間に合って、
視力の回復もあと一歩というところまで来ています。

自分を労わる気持ちは持つようになりましたが、
たぶん、これからもギリギリまで追い込む性分は変わらないと思うのです。
そういう執念がなくなってしまったら、自分が自分でなくなるような気がします。