横綱白鵬。
彼は歴代最強の横綱です。
横綱在位、幕内優勝回数、どちらも歴代1位。
その道を極めた存在と言えるでしょう。
僕はどこか求道者を感じされる白鵬という力士が好きでした。
その白鵬が引退会見で、
「たくさん技を持っている人は一つも怖くなかった。
型を持っている人が一番怖かった」
と言っていたのです。これは真理をついている言葉だと思います。
そして、それは表現する人にも当てはまるものだと思います。
例えば、デザイナー。
様々なスキルを持っていて、無難にこなすことができる人。
すごく重宝されるけれど、それだけなのです。
むしろ便利に使われている場面が多い。
新しいツールをすぐに取り入れて、使いこなしている人。
すごいなあと思うけれど、たいがいの場合、
ツールを使うことが目的になってしまって、
本質を掘り下げることから遠ざかっていく。
一方で、自分の型というものをちゃんと持っている人がいる。
この人にしかできない型を持っている。
僕は20代でも、そんな人を時々見かけます。
そして、正直、これらの人はすごいなあと思う。
代わりがいない人なので。
また、テクニックに走るのではなく、
基本のアイデア作業をやって土台をつくった人は長く仕事ができる。
これも型を作るという作業です。
テクニックは早く役に立つものなのですが、基本のアイデア作業というのは
身に付けるのにも時間がかかりますし、なかなか効果が出ずらい。
だから途中であきらめる人が多い。それを粘り強くやった人は強固な土台がある。
「型を持ちながら、型にこだわらない。それをやり続ければ、必ず強くなると思います」
これも白鵬が言った言葉です。まさにその通りだなと思うのです。