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サザンオールスターズの奇跡のブランディング

今のサザンオールスターズからは伺いしれませんが、
デビュー当時のサザンオールスターズは
「イロモノ」的な扱いだったと思います。

サザンオールスターズがブランディングは、
まずは知名度・認知度の獲得です。

桑田佳祐さんの音楽はそれは素晴らしいものです。
それでも音楽そのものではなく、まずは話題づくりで
知名度・認知度を獲得することを狙った。

デビュー曲の「勝手にシンドバット」も

その前年に流行った沢田研二の「勝手にしやがれ」と
ピンクレディーの「渚のシンドバット」の一部を抜き取ったもの。
どこか「イロモノ」的なものでしたが、そのブランディングはがっちりはまり、
認知度・知名度は一気にアップしました。

ただ本当の音楽の素晴らしさが伝わらない限り、
本当の意味ではブランディングになりませんし、
価値が伝わらなければ、セールスにもつながらない。

もしかしたら、サザンオールスターズも「一発屋」で終わる可能性だってあった。

「勝手にシンドバット」に続いて出した曲は、
どこか「勝手にシンドバット」の雰囲気を引きずったもので、その可能性は少なくなかった。

ただ、この同じ年に発表した「いとしのエリー」という名曲を発表することで
サザンオールスターズのブランディングは完成したとも言えるのです。
この曲によって、
「明るいけれど、どこか切なさの残る音楽を作るサザンオールスターズ(=桑田佳祐)」という
ブランディングができあがり、多くの人に記憶されたと思います。

ブランディングのステップとして、
まずは自身の価値を規定すること。
そして、それをじっくり伝えていく。
時間はかかりますが、それが常道だと思います。

サザンオールスターズはこれとはまったく逆。
知名度アップという瞬発力のある方法を取り、
徐々に自分たちの本質を浸透させていった。
これは本当に高度で難しいブランディングです。

稀代のメロディメーカーだからこそできた手法だったと思います。