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事務所に仕掛け続ける罠

在籍するスタッフと僕を比較した時に、
僕のほうが明らかに秀でているのは、
長い時間を生きてきたということだけでしょう。
それだけ経験もある。
そして、年齢を重ねる中でぶつかってきた壁もいちばん多い。

僕はその経験を話して聞かせることはできるけれど、
すべてを伝えるのは難しい。
聞いたほうも忘れるだろうし。

ライト・ア・ライトの事務所にはたくさんの蔵書があります。
もちろん、僕の好み、社員に読んでほしいという視点で選んだものの多々あります。

ただ、事務所の本棚には、将来、壁にぶつかった時に読んで欲しいという視点で選んだ本も
紛れ込ませています。

いつか僕はライト・ア・ライトからいなくなるだろうし、
この世の中からもいなくなる。

今のスタッフがライト・ア・ライトが引き継ぐのであれば、
僕は最良の形にして渡していきたいという気持ちがあります。

そして、僕がどんなことに悩み、そして、スタッフに対して、どんな気持ちを持っていたのかも
ちゃんと残していきたいと思うのです。

いつの日か、今いるスタッフが年齢を重ねて、
事務所の本棚で、自分が悩んでいることの答えを見つめる。
そんなことをひそかに夢想しています。