徳川家康の様子を描いた「しかみ像」というものがあります。
(「しかみ」も漢字なのですが出てこない字で)
これは徳川家康が戦で武田軍の術中にはまり、
大敗した時の様子を描いたものだそうです。
戦国の武将というのは、勇猛果敢に見えるように描くのが一般的。
この「しかみ像」の徳川家康は何とも弱々しく、頼りなげに見える。
僕はこの絵が好きなのです。
そして、徳川家ではこの絵を代々受け継ぎ、
戒めとしていたそうです。
自らの判断の甘さ、そして、失策によって、招いた大敗。
同じような過ちを二度と繰り返さぬようにという思いが込められている。
そういう思考が、徳川家康を天下人にしたのだとさえ思う。
人間はいちばん自分がかわいい。自分は悪くない、相手が悪いと思い込みたい。
ただ、それは甚だ身勝手な考え方です。
そして、自分ではそう思っていても、周りの人はそう思っていないことが多い。
人間力を磨くことは、仕事の技術を高めることよりもよほど難しい。