僕は以前、会社員でした。
新卒で入った広告代理店に21年間勤めた。
一言で表現すれば、僕は扱いづらい社員だったと思います。
働いていた会社には、東京にある親会社があって、
どうしてもその支配下にあります。
東京の流儀、作法、やり方を求められる。
いいところもあったけれど、
東京のやり方が、岩手に合わないことは多々ありました。
そして、僕はそれをしょうがないという言葉で片づけたくなかった。
これはおかしい。改善すべきだ。東京に掛け合うべきだ。
そういうことをまくしたてるような社員だったのです。
自慢めいたところがあって恐縮なのですが、
若いうちから実績を残してきたこともあり、
少々キツい発言をしても、自分なら許されるだろうという傲慢さもあったと思います。
僕は性分として、
しょうがないとか、こういうものだからと思考停止してしまうことは本当に嫌だった。
今、年齢を重ねて、その当時を振り返ると、
当時の上司には本当に失礼だし、申し訳ないことをしたと思います。
多分、上司も同じように思ってはいるけれど、
親会社の手前、できないことがあるということがわかっていた。大人だから。
僕が幸運だkったのは、
そういう世間知らずの若造の言葉にも、
一応耳を傾けてくれる環境があったことです。
上司は僕の言葉に耳を傾けることはしてくれた。
そんなことできるわけがないと、突っぱねるようなことはしなかった。
会社が向き合ってくれたことは、僕が僕らしくあるためには、すごく重要なことだったのです。
もしそういう環境がなかったら、21年なんて勤められなかった。
早々に見切りを付けて、辞めていたと思うのです。
今、経営者になって思うのは、
やはりできないことはたくさんあるし、
スタッフの希望に添えないこともあります。
それでも、僕は、スタッフに、この会社は言ったところでダメだよなと思ってほしくないのです。
無理かもしれないけれど、それを聞く耳は持っているつもり。
それぞれが考えていることはぜひとも聞かせてもらいたいと心の底から思っています。
だから、どんどん経営者の僕を突き上げてほしいのです。
思考停止状態になってほしくない。思考停止になったら、それは人間ではないのです。
「扱いづらいスタッフであれ」
偽りのない本当の言葉なのです。