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光の当て方

宮藤官九郎の「不適切にもほどがある」が人気です。

2024年と1986年を行き来するタイムスリップドラマですが、
1986年の世相が今では考えられないことが多くて、
1986年という時代そのものがコメディの大切なスパイスになっています。

1986年はバブル前夜です。
それでも日本の勢いは徐々に表れていて、
すごく景気のいい、そして、おおらかな時代だったなと
そんなことを思わされます。

バブルというのは、
今の不景気の根源になったような見方もされていて、
なかなかの悪役ぶりです。
ただ、礼儀を知らないやんちゃ小僧のような日本は、
明るく、天真爛漫だったと思うのです。
そういう部分に光を当ててくれている。

宮藤官九郎といえば、岩手県を舞台にした「あまちゃん」が思い出されます。

岩手の片田舎の町の高校生の青春。
東京の洗練された青春ではないけれど、
キラキラと輝く青春であったことを肯定してくれた。

いろいろな角度から光を当てることができる。

バブル=悪者、岩手=田舎
という光の当て方は当たり前過ぎて面白くもなんともない。

ただ、宮藤官九郎のように、
別の確度から光を当てると、それはまた違う魅力を放ち始める。

広告の仕事では、「切り口」という言葉がよく使われる。
まさにこれは「光の当て方」と言い換えることができると思います。

影になっている魅力をちゃんと見定めて、光を当ててあげる。

宮藤官九郎は、広告の仕事をしていたとしたら、
多分大変な実績を上げただろうと思うのです。