ビートルズというのは、奇跡のバンドだと思います。
イギリスの海沿いの街・リヴァプール。
同時期にこれだけ才能のある4人が生まれ、
そして出会ったことが奇跡の始まり。
ビートルズは、音楽というものの価値を高めたバンドでもあったと思います。
音楽に込められたメッセージは、平和につながり、政治を正すことにも貢献していた。
メンバーの言葉は大きな影響力を持っていたと思います。
そして、それだけの影響力を持ちながら、
常に新しいことに先んじて取り組んでいたバンドでもありました。
これだけのビッグネームであれば、
今やっていることに安住しがちです。でも変わり続けた。
ビートルズの初期と最後ではまったく違うバンドになっています。
解散した後も、ビートルスは色褪せることがありませんでした。
彼らに影響を受けたバンドが次々に生まれ、
そして、ビートルズに影響を受けていたことを公言していた。
これほど再結成が望まれたバンドも他に例がない。
今では、4人だったビートルズもすでに2人が亡くなっています。
再結成はできなくなっています。リヴァプールの若者たちは老人になった。
この11月に、ビートルズの「最後の新曲」がリリースされました。
ジョン・レノンが残していたテープをリマスタリングして、
ポール・マッカートニー、りんご・スターが演奏を添えている。
「now and then」という曲はビートルズ最後の奇跡だと思います。
ビートルズの解散は、メンバーの確執です。
ののしりあっていたし、決して平和的なものではなかった。
「now and then」の歌詞には、
今も時々 思い出す。
すべておまえたちのおかげなんだよ
と訳せる部分があります。
今はいないジョン・レノンが、ビートルズのメンバーに向けた曲のようだ。
いろいろあったけど、喧嘩もしたけど、この4人だから、素晴らしい音楽を作ることはできた。
そういうメッセージのように思うのです。
この曲のPVには、若き日のビートルズの映像とともに
年老いたポール・マッカートニー、リンゴ・スターが登場します。
これを見て、これが「最後のビートルズの新曲」であることを僕はさらに実感しています。
この「now and then」の制作では、AIの技術が多く活用されているそうです。
このAIの技術はさらに進歩し、この数年のうちに「AIが作ったビートルズの新曲」がリリースされるのかもしれません。
「ビートルズらしきもの」はいくらでも作れるようになるのかもしれません。
生身の人間だけが生み出せる音楽の尊さ。それはこれからも変わらないし、間違いなく素晴らしいものである。
そのことをビートルズが教えてくれているように思います。やはりビートルズは奇跡にまみれている。