学生時代にアルバイトしていたのは、バブル時代まっさかりの博報堂。
僕がアルバイトしていたその時代の博報堂は「不夜城」。
会社の電気が消えているのを見たことがありませんでした。
午前3時くらいに仕事を終えて、次の日はお昼頃に出社。
そういう仕事スタイルの人は少なくなかった。
だから、終電が終わった後は、そこから帰る社員をつかまえようと
タクシーの行列ができていた。
社員も個性的な人ばかりで、
着物で出社している女性、夜になるとギターを引き出す元プロミュージシャン、
金髪で派手なファッション。なんでもありだった。
その金髪で派手なファッションが、箭内道彦さんだった。
まさに売り出し中の若手クリエーターで、見た目だけでなく、
自身が手掛ける仕事が注目を集める存在でした。
最近、「ふるさとに風が吹く」という本を読みました。
これは東日本大震災の福島県のストーリー。
東日本大震災で大きなダメージを負った福島県が、
今の福島県のリアルな姿を伝えることで、
誤解を解いていきたい、震災を風化させたくない。
その想いを込めた情報発信を行っていました。
そして、その中心にいたのが、福島県郡山出身であり、
福島県クリエイティブディレクターを務める箭内道彦さんです。
そして、その取り組みは、この本の中であますところなく紹介されています。
「ふるさとに風が吹く」という題名の通り、
クリエイティブで風を吹かせた。
認知度であったり、消費行動の改善であったり、イメージアップであったり。
そういうものがクリエイティブの尺度として語られる。可視化するための方法として用いられる。
ただ、「ふるさとブランディング」というのは、
暮らす人の目線を前に向かせたり、心をひとつにしたり。そういう役割も担うものだと改めて思いました。
そして、それは日本中の「ふるさと」で実践できるものだと思います。