川渕三郎さんがJリーグ発足に向けて動き出したのは51歳の時。
この年、川渕さんは会社の人事で関連会社への出向を命じられた。
それはいわゆる左遷人事で、もう本社での出世は見込めないものだったそうです。
会社人として、出世することがよしと考えていた川渕さんは
これをきっかけに大きく変わったそうです。
自分がやるべきことは、サッカー界、スポーツ界を変えていくことだ。
それによって、社業を優先するために断っていたサッカーの仕事を引き受けるようになり、
結果としてJリーグ発足へとつながっていった。
人間とは、変わらないものでしょうか?
僕はそうではないと思います。
変われない人と、変われる人の2種類がいるだけです。
そして、変われる人は、たった一日で変わります。その日から行動が変わります。
危機感があるからです。使命感があるからです。
以前、会社に勤めていた時、
会社の方向性が大きく変わった時期がありました。
最大7人もいた制作セクションは、僕一人になってしまった。
仕事量は大幅に増え、毎日遅くまで残業しても、到底追いつかない。
その時、上司から言われたのが
「なんで自分でやろうとする。外に仕事を振ればいいだろう。毎日残業するな!」
ということです。その時、はたと思ったのは、自分が仕事を振れる人間を育ててこなかったということです。
40歳になったばかりでした。それまでの自分は、恥ずかしいほど自分中心の考え方でした。
自分の評価が上がればいい、自分の会社での立場が良くなればいい、自分の仕事に集中できればいい。
どこまでいっても自分です。ただ、それではこの業界がダメになってしまうと思ったのです。
僕は次の日から、たくさんの人に会い、その中から、いっしょにできる仲間を探し始めました。
人を育てることが、自分が学んできたことを伝えることが、この業界にとって大事なことと考えたからです。
そして、数年後、僕は会社を辞め、ライト・ア・ライトを設立します。
会社に勤めていたほうが、会社の名前を利用して、楽に仕事ができたかもしれない。
そこそこいい給料をもらって定時に終われる状態だったかもしれない。
それでも、僕は僕自身が変わって良かったと思っています。
だって、今のほうが断然楽しいですから。