この30年でスポーツ界にいちばん貢献したのは誰か?
それはイチローでも中田英寿でもなく、川淵三郎さんだと思います。
その理由は、スポーツ界の大きな「仕組み」自体を変えた人だからです。
僕が子供の頃のサッカーと言えば、お客さんが入らないスポーツ。
テレビにも映ることがなく、ぼんやりとしたイメージしかない競技でした。
当然、海外では人気があるスポーツであることは知っていましたが、
日本でサッカーのプロ化は難しいと思っていた。というか、できるはずがないと思っていた。
それを現実に変えたのが、川渕三郎さんです。
なぜ誰もが無理だと思う挑戦ができたのか、ずっと興味がありました。
そして最近出版された「キャプテン!」を読むことで、
少しだけ川渕さんを理解できたかなと思っています。
川渕さんは言葉の力を知っているリーダーだと思います。
その感覚はとても鋭い。
Jリーグ発足時も理事長と言う呼称ではなく、あえてチェアマンという呼称で現れた。
新しく生まれたJリーグのリーダーにふさわしい、新しさを感じる呼び名でした。
そして、それから時を経て、チェアマンではなく、キャプテンと名乗り始めた。
Jリーグを軌道に乗せた後、さらに進展させていくためには、
机に座っているのではなく、もっと現場に近づいていかなければという思いがあったのだと思います。
プレーヤーと同じ気持ちになって、ピッチのそばに立っている。だからこそ、キャプテン。
名は体を表すの言葉の通り、川渕さんの活動そのものを示す、素晴らしい呼び名だと思います。