昔、ストックホルムの街で
日本の方ですか?と話しかけられた。
「僕は『銀河鉄道999』と『コブラ』が大好きなんです。
日本はすごい国です。それが伝えたくて」
190センチを超えていたであろうストックホルムの青年。
海の向こうのオタクを魅了したコブラの作者、寺沢武一さんが亡くなりました。
僕もコブラが大好きでした。
今回の訃報を聞いて、あのストックホルムの昼下がりを思い出した。
寺沢武一さんは手塚治虫先生のアシスタントをしていた時代があります。
先輩アシスタントからロケットを描いてくれと言われて、
寺沢さんはロケットを描いた。それはカブトガニみたいなロケットで、
先輩の望むロケットとは到底違うものだったそうです。
書き直しを要求されたそうですが、
「これ、いいじゃないですか!これでいきましょう!」
目を輝かせてそう言ってくれたのが手塚治虫先生だったそうです。
天才が天才を引き上げる。そんな言葉があります。
そして、その通りだと思う。
僕は天才ではありませんが、能力のある若者はどんどん引き上げたいと思う。
というか、そういう若者との出会いをどこかで待ち望んでいる。
同じ目線で仕事に立ち向かえる仲間の出現を楽しみにしているのです。
若手が出してきた案に「これ、いいじゃないですか!これでいきましょう!」
と僕は言いたいのです。手塚先生と同じように目を輝かせて。