上杉鷹山が
はじめて米沢藩に足を踏み入れた時の
エピソードが僕は好きです。
他家から家督を継いだ
若き藩主(その時、二十歳前後)が
米沢藩に入国した時、
藩が窮乏し、痩せ枯れた農民の姿を目にして愕然とする。
そばにある灰を見て、
米沢藩はまるで火の消えて冷たくなったこの灰のようだと。
鷹山が灰をかき回すと、まだ小さな火が残っているのを見つけます。
そして、その小さな火は希望だと感じる。
追従していた家来は、鷹山にその火を分けてほしいと願い出る。
その輪はどんどん広がり、多くの家来に火が渡されていきました。
それは武士だけでなく、町民、農民に広がっていった。
「財政再建は、城の役人のためじゃなく、我々自身のためなんだ」
という自覚を呼び起こし、地場産業の振興につながりました。
米沢織、紅花、漆器、鯉、おタカぽっぽなどの名産品は、
すべて鷹山時代に開発されたものです。
志を立て、本気で動こうとする人間には、
共感する人があらわれます。仲間が生まれます。
そうすることで、現状は変わっていきます。