何度もチームを優勝させてきた名将・野村克也監督。
婦人が脱税で逮捕されたことをきっかけに、監督を解任され、
ひとときプロ野球から離れた時期がありました。
その間、野村監督はシダックスという社会人チームの監督を
3年間務めていました。
アマチュア最高峰とは言え、
プロ野球と比べれば、環境も、待遇も、雲泥の差です。
シダックスは専用球場もなく、
少年野球のグラウンドを練習で使っていたそうです。
そのシダックスの監督時代を振り返り、
野村監督は「幸せな時間だった」と言いました。
野村監督は母子家庭で育ったこともあり、
お金には強い執着がありました。
母親にラクをさせるために、
技術を磨き、競争に打ち勝ってきました。
そういう世界で生き抜いてきた人が、
純粋に野球が上手くなりたい、
少しでも知識を得たいという社会人チームの選手たちと
触れ合うことで、野球本来の楽しさに立ち返った。
それが「幸せな時間」の言葉の真意だと思います。
この頃、学生に会う機会が増えました。
忙しい時期であっても、時間をやりくりして、
学生との時間を作っています。
僕はビジネスマンです。
会社をやっている以上、お金は切り離せません。
ただ、
「経験を積みたい」
「この仕事を、一生の仕事にしたい」
そんな言葉を発する学生たちに会うことで、
今よりは純粋だった自分を思い出すのです。
学生と会う時間は、僕にとっては、
「幸せな時間」なのです。