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「仕事は忙しい人に頼め」は本当か?

仕事の質を上げるために
「やりたいこと」よりも「やらないこと」を決める。
「仕事は忙しい人に頼め」という格言めいた言葉があります。
これは明らかに間違っていると思います。
忙しい人には仕事がたくさん集まっていて、
評価を獲得しているのだから、
その人に頼んだほうがいいという理屈だと思うのですが、
僕の経験上、忙しい人に仕事を頼むと
ほとんどの場合、仕事の質が下がります。
忙しいから打ち合わせの時間も十分に取れない、
忙しいから頼んだ仕事に時間をかけられない、
忙しいから修正の対応も遅れる。何一ついいことがないのです。
さらにやっかいなのは、仕事を受ける側が「自分は頼りにされている」と
間違った理解をしてしまうことです。それゆえに自分で抱え込んで、
苦しい状況を作り出してしまう。
「自分の力で乗り切った」という達成感はあるのですが、
それは仕事を受けた個人の満足であって、依頼者の満足ではありません。
仕事をする中で、持ちうるすべての力を出し切るのは大事なこと。
だからこそ、最初の段階で「やらないこと」を決める。
時間も体力も限られる中で、自分の100%を出す部分を決めて、
その他の部分は、他の人にお願いしてやってもらうほうがよほどいい結果につながる。
「やらないこと」を決めることは、時間的にも、精神的にも余裕をもたらしてくれます。
そして一番の悲劇は、忙しい時に、本当にやりたい仕事に出会ってしまうことです。
もっともっと時間をかけたかったのに、忙しいがために、全力を出し切れない。
その「後悔」は後々まで残ります。
「仕事は忙しい人に頼め」は誰にもいいことがありません。