経済学的な見地からすると、
稀少性の高いものは、
同じように高い値付けがされます。
広告代理店がかつて持っていた稀少性は、
注目を集めるための仕組みを持っていた。
これは強烈な稀少性だったのです。
だから、多くの企業が広告代理店に頼り、
相当なお金も支払っていたのです。
ただ、広告代理店の稀少性は2000年代に入って
急速にその価値を落としていきました。
注目を集める仕組みは、閉鎖的なものではなくなり、
誰もが利用できるものになった。
例えばYou Tubeなら、
映像の質の違いはあるけれど、
大企業も中小企業も、人を集める仕組みの上に乗ることができる。
しかも、その仕組みに参加することはほとんど無料。
広告代理店が扱っていた稀少性はほぼ崩壊したのです。
これからはこのやり方では厳しい。
僕はそう思っていました。
僕が広告代理店を辞めた理由の一つはこれだったと思います。
そして、制作会社を立ち上げましたが、
これとてその稀少性はどんどん薄れてきています。
誰もがデザインをできるようになりましたし、
映像だって作ることができます。
そして、それにわざわざお金を払おうという人はいません。
制作会社がこれから生き残るためには、
価値あるアイデアを買ってもらうことです。
制作会社だけど、制作しないことで、お金を稼ぐ。
それが僕の考える、制作会社の未来像なのです。