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長屋の花見

「長屋の花見」という落語があります。

僕は落語を聞くたびに、すごい技術だなと感心します。
「声色の芸術」と言っていいものだと思います。
特にこの「長屋の花見」は登場人物も多く、
一人の落語家がそれを演じている。
たった一人なのに、たくさんの人が花見を
楽しんでいるように聞こえる。
これはすごい技術です。

話がそれました。

僕は「長屋の花見」の内容は、
桜の季節になって、花見に出かけたいけれど、
長屋に暮らす町人たちはお金がない。
豪勢な花見はできないから
アイデアを出して、花見を楽しむというものです。
制約がある中で、工夫して、楽しむ。

これは制作会社の仕事に似ていると思います。
潤沢な予算がある仕事は本当に少ない。
ただ、その限られた予算の中で、
目的達成のために、どのような工夫を施すか。
それが今の時代の制作会社の仕事だと思います。

そして、それが苦しいわけではなくて、
けっこう楽しいのです。
頭を使う。アイデアを出す。これは楽しい作業だからです。

「長屋の花見」もお金をかけずに
楽しもうとしているし、実際に楽しんでいる。

江戸の町人と同じ気持ちで、制作の仕事をしていきたいと思っています。