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時代の教科書

司馬遼太郎さんの本は、ほとんど読んでいると思います。
「竜馬がゆく」、「坂の上の雲」など有名な作品がたくさんありますが
僕がいちばん好きなのは「俄(にわか)」という作品です。

この「俄(にわか)」の主人公は、
明石家万吉という博徒です。
時代は江戸時代末期から明治時代。
時代が大きく移り変わる時代の中で、
戸惑いを持つこともなく、自分に信じる道を
必死に突き進んでいく。
どんどん色々なことに首をつっこんで、
ひどい目にも会いながら、散々な目にも会いながら、
その姿が人を引き寄せ、
回りに人が集まっていく。

年をとって残すのは、お金ではなく、思い出。

明石家万吉が語るところが、僕は大好きでした。

司馬遼太郎さんの作品では
この明石家万吉をはじめ、坂本竜馬も、秋山兄弟も、
大きな時代の移り変わりを経験している人たちです。

時代が変わる時には、
前例がないだけに、こうやれば良いという教科書がありません。
だから、自分の頭で考え、そして、行動することが求められます。
明石家万吉も、坂本竜馬も、秋山兄弟もそれを実践した人たちであり、
そういう人間の姿を、司馬遼太郎さんは愛し、そして、尊敬の念を持って、
描き続けたのだと思います。

こうやって書いている2025年も時代の変わり目だと思います。
そして、こうやれば良いという教科書はないのです。

自分の頭で考え、そして、行動につなげていく。
僕自身、それを実践していきたいと思うのです。

「俄」とは、宴席や路上などで行われた即興の芝居のことです。
この題名もすばらしい。
必死に生きた人生も、後から振り返れば一瞬の芝居みたいなものなのかもしれません。