「お役立ち発想」。
どういう提案をすれば、得意先の役に立つことができるのか?
かつての広告代理店というのは、この「お役立ち発想」というものが
根底にあったと思います。仕事の始まりはそこにあったと思います。
時間を経過する中で、この「お役立ち発想」はどんどん歪められていったと思うのです。
得意先の「役に立つ提案」が本論だったはずが、
いつの間にか、得意先の「望むこと」を提案するというものに変質していった。
得意先の耳の痛い話はすることがなくなって、得意先がやりたいことを実現することが
広告代理店の仕事になってきていると思います。
もちろんお金を出す人が大きな権限を持っていることは間違いがなく、
そのお金の出す人の意見は尊重されるのは仕方ない部分もあります。
子どもじゃないですから、すべてが右、左と分けられるものでもないことも
もちろん理解しています。
ただ、本来、得意先が目指す「目的」を達成するするために、
「提案」することが広告代理店の姿勢だったはずです。
僕はこの元来の姿には共感するし、そうあるべきと考えています。
僕は、この古くさいとも言える「お役立ち発想」が
これからのAI時代で、人間が大事にすべきものと思っています。
AIは人間の役に立ちたいなんて思っていませんから。
AIは直接得意先のところに行って、話を聞いてみたいなんて思いませんから。